第9章 疑問と約束
「でも、ナンパしたときとかってのも?」
「んー?」
「ナンパする時ってかわいいとか、好きだわとか…言ったりしないの?」
「そりゃ時々は言うぜ?」
「…私言われたことない」
「嘘つけ」
「本当じゃん?」
そう答えれば悟浄は耳元に唇を寄せた。
「…好きだぜ?理世」
不意打ちの如くに囁かれた理世。
「な?これで言われたろ?」
「そ、んな気持ちこもってない好きとか…」
「でも、大抵こんなんだぜ?」
「…え?」
「だぁって、言ったろ?愛だの恋だのに溺れねぇって。」
そう聞かされる悟浄の言葉に理世は少しだけ新たな疑問がわいた。
「じゃぁ、悟浄にとってエッチって…何?」
「んー、なんだろうな」
「ただの性欲吐きの手段って事?」
「ってわけでもねぇよ?」
「・・・」
「相手だって誰でもいいって程でもねぇし。ナンパして、デートしてってのは食事とかと同じ感覚?ステータスみたいなところはあるけど…」
「ちょいちょい最低発言だけど…?」
「まぁまぁ、でもよ?セックスって、その流れでって訳にもいかねぇのよ」
「……どの口が言ってんでしょうね」
「ぁ?」
「…・・うそ…ごめん」
「何のごめん?」
「えと…言い過ぎた…」
「そう思うなら…」
顎を持ち上げ、首筋を伸ばせば唇をするっと寄せる悟浄。
「見えるトコに付けてもいいってこと?」
「どうしたらそういう解釈になるのよ…」
「そう?俺は付けられてぇけど?」
「…そんなに言うなら…」
ざぱっと離れ、体を反転させれば、悟浄の首筋に理世は唇を寄せる。
「…ン…」
「…これでナンパも当分残念な結果だね」
「てめ…」
「我ながら上出来…」
そう、付けられる前にと理世は悟浄の首筋に紅いキスマークをくっきりと付けたのだった。