第9章 疑問と約束
それから理世はびしょ濡れになった服を脱ぎ、二人で浴槽に入る。
「…狭いね」
「そうか?理世がもっとこっちにきたらそうでもねぇと思うけど?」
「だってそっち行ったら…悟浄とぴったりしちゃう…」
「今更だろ」
「……それに…」
「それに?」
そこまで言うとちらりと胸元を見る。
「小さい…かなって」
「まぁ、普通じゃねぇの?」
そう答えるが早いか悟浄はするっと理世の腰に腕を回して抱きいれた。
「…んなことぐちゃぐちゃ言ってねぇで来ちまえば一緒だっつぅの」
「…もぉ…」
少しばかり照れながらも理世は抱きしめられるままにゆっくりと悟浄にもたれた。
「…ねぇ、悟浄…?」
「んー?」
「…この間の…返事、今してもいい?」
「この間のって…?」
「ほら…セフレ…がどうっての」
「あぁ、あれか」
「…ん」
「…で?」
「好きとか…そういうんじゃなくて…」
「ん」
「体関係だけなんてちょっと嫌だなって思ってた。でも…触れれないと少し寂しいし…」
「…ん」
「ごじょとの…エッチ…気持ちぃし」
「そりゃどうも」
「…だから…いいよ」
「いいよってのは?」
「…セフレ…でも」
「そか」
「…それとも言っといて軽い女とか思った?」
「いんや?だって俺愛とか別に溺れねぇし」
ハハ…っと笑いながらも悟浄は続ける。
「別にさ?好きだけが抱いて抱かれる意味じゃねぇじゃん」
「そう、か」
「そうじゃね?俺にとって大切なものはとっくにないし…愛だの恋だのを求めるってガラでもねぇし」
そう話しながらもそっと胸に触れる悟浄の手にピクリと体は反応を示す。