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緋色の愛で抱いて【最遊記悟浄夢】

第1章 社畜OL


「どうかしましたか?理世」
「…ここって…」
「今朝、宿を出て街を後にしたのは覚えてますか?」
「…宿…・・街?」
「……僕の事はわかりますか?」
「…あの…わからない…」
「そうですか…あの赤髪は?」
「悟浄さんってさっきあの子が…」
「あの子…名前はわかります?」
「みんな…わからない…です」
「…そうですか…」

少し挙動不審にも見えるものの、嘘をついているように見えない…そう感じたのだろう。片メガネの男は小さく笑って話し出した。

「僕は猪八戒。あの少年は孫悟空。赤髪が沙悟浄で、金髪が玄奘三蔵、ですね。あなたは工藤理世、間違いないでしょう?」
「…どうして…私…の名前…」
「知ってますよ、すでに一緒に旅初めて半年近く経つんですから」
「半年?!」
「はい。そうでなければ僕等があなたの名前を知ることはないでしょう?」
「…そうかもしれないけど…」
「ほかに知りたいことは?」
「…あの…私の荷物…って…」
「そこにいっしょくたに入ってるはずですが?」
「じゃなくて!」

そういいながら理世はどうしたものかと思いつつも、話を続けようとした時だった。

「…おい、八戒」
「どうかしましたか?三蔵」
「…そいつ、どうかしたのか?」
「いえ、おそらくですが…」
「何?」
「記憶が曖昧になっているのかなと…」
「曖昧って…確かに私社畜だったかもしれないけど…」
「社畜、だ?」
「ほら、会社に尽くしますよっていう、あれですよ」
「フン…」
「それでも明日は…推しのライブだからって…」
「ライブ…?」
「推し?」
「……ーーーッツだから!」

その時だ。ふと理世の頭をよぎった一つの事があった。
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