第8章 温もりを求めて
「お部屋ですが、シングル五部屋で大丈夫ですか?」
「あぁ。」
「では、こちらがキーです」
そうして出された鍵。
「あれ、これって…」
「すみません。階層がちょっと変わってしまいますが…」
「あぁ、そういう事ですね?」
「構わん」
「…よっしゃ!俺三蔵の隣ー!!」
「うるせぇ…」
「で、理世はどっちがいいですか?」
「下の階で大丈夫だよ、203号室?」
「そうですか?では…」
そう言いかけた時、するっと悟浄が手を出してきた。
「…悟浄?」
「んじゃ、俺先に出てくるなぁ…」
一足先にと言わんばかりに悟浄はひらひらと手を振り出ていった。
「…悟浄が横で大丈夫ですか?」
「誰が横でも一緒だよ。」
「では、何かあったら来てくださいね?301から303までが僕たちの部屋ですから」
「ん、ありがとう」
「では、荷物おいてから宿の入り口で待ち合わせでいいですか?」
「ん!待ってるね!」
そうしてそれぞれ分かれていく。理世も部屋にいったん入りベッドを見ればドキリとした。
「…ッッ…何考えてんだろ…もぉ…」
そうして軽く頭を整理して深呼吸をし、宿の入り口に向かうのだった。
「ごめんね?お待たせ…」
「いえいえ、僕も今来たばかりなので、大丈夫ですよ」
「ありがと、」
「そういえば、何を買いたいんですか?」
「えと…それは…その…」
「はい?」
「豆乳とか、少し香りのいいシャンプーとか…」
「…なるほど、そうなると雑貨屋さんもリストに入れないと、ですね」
「いいの?」
「えぇ。」
「いくらくらいかな…」
「気にしないでいいですよ」
そう言いながらもいろいろとみていく八戒と理世。目的のものも買え、三蔵に頼まれた煙草も購入。その時だ。
「悟浄のもいるかな」
「あぁー、確かにそうですが…」
「買ってく?」
「…ですね」
そうしてマルボロに加えてハイライトも購入し、宿に戻った。