第1章 社畜OL
「ン…やば…結構寝て・・・た…って…」
「やっと起きたかぁ、お姫サマ」
「……誰?」
「だぁーっはははは!!悟浄認識されてねぇ!」
「…ひっでぇなぁ…」
「悟浄…って…それに…ここ…」
「あぁ、起きましたか?」
「よくもまぁ寝られるもんだ」
「…それ三蔵が言っても説得力の欠片もありませんよ?」
「…うるせぇよ」
「…・・てか…まって…!?ここどこ?」
「寝ぼけてんのかぁ?」
そう理世に笑いかけるのは目の前を真っ赤に染めるほどの緋色の髪の毛と、吸い込まれるように赤いルビーの瞳だった。
「……って、おーい、起きてっかぁ?」
「…あの…」
「悟浄?理世も寝起きなんですから…少し寝ぼけてるからっていじらないでくださいよ?」
「…え、なんで私の名前…」
「俺の事解るか?理世」
「…え…・・」
一生懸命にガン見するものの、理世には目の前のその男がいったい誰なのか…それが一切わからなかった。
「…あの…」
「悟浄ぉ!!いちゃつくなよ!」
「うっせぇ猿!」
「…てめえらみんなうるせぇよ!」
「まぁまぁ、三蔵…」
「え…っと、悟浄『さん』?」
「くは…!さんって…いつもみたいに呼んでくれればいいじゃんよ」
「…いつも…」
「俺は?俺は?!わかる?理世!」
そういってかわるがわるに聞いて来る一行。しかしなぜここにいるのか、それすらわからなかった。
「…三蔵」
「…ぁあ?」
「いったん休憩にしませんか?」
「…あぁ」
そうして言葉少なに承諾した三蔵。ジープをいったん止めて、車を降りれば大きく伸び…とする三人。その中でジープから降りようとしない理世の横に来れば、片メガネの男は声をかけた。