第46章 再会
「好かれてんねぇ…」
「……お兄ちゃん誰?」
「ん?俺か?」
「羽桜?この人は私の大好きな人」
「…理世ねーちゃん…せーらんのお嫁さんになるんじゃないの?」
「んー、それは違うかな?」
「……なんで?」
「なんでって…私はね?このお兄ちゃんの事をずっと待ってて、ずっと大好きなんだ」
「…せーらんより?」
「ん」
「……って事は…いなくなっちゃうの?」
「ん。明日のその次の日に、この村から離れていくんだ」
「…そのお兄ちゃんと一緒に?」
「ん」
「…やだ!!」
そういえば羽桜はキッと悟浄をにらむ様にして見上げた。ツカツカっと前に立てば、泣きじゃくりながらも話し出す。
「…私の名前は羽桜!あなたのお名前は?!」
「お、俺か?」
「そう!」
「俺は沙悟浄。」
「…あのね…?お願いがあるの」
「何?」
「理世ねーちゃんを連れてかないで?」
「……だろうと思った」
「お願い!」
「わりぃな。いくらかわいいお嬢様の言う事でもそれだけは譲れねぇわ」
「…どうして?!」
「どうしてかって?俺のお嫁さんにするから」
「…はい?!」
突如言われた理世だった。悟浄の口から思いもよらない言葉が出てきたのだ。
「…お嫁さんにするのはせーらんだよ…」
「クス…そう思いてぇのも解る。羽桜は理世の事大好きなんだよな」
「…ん…」
睨む様に見ていた羽桜の瞳が少しだけ揺れてくる。どうしたらいいのか…それでも解らない…解るにはまだ幼すぎる羽桜の心に悟浄はにこりと微笑みながらそっと抱きしめて話だす。