第46章 再会
「どれだけ羽桜が理世の事を好きでも、青藍が理世の事を思ってても…これだけは俺も譲れねぇのよ。」
「…ッッ」
「それに、羽桜にもいつかは王子サマが現れるって」
「…じゃぁ…この…コレ、私の宝ものあげるから」
「…悟浄…」
そう悟浄に変わろうかと声をかける理世に、悟浄もまた手を出してそれを止める。小さく首を横に振れば『俺と羽桜との話だ』と言わんばかりに言葉を止める。
「…あのな?これ、羽桜はすげぇ大事なんだろ?」
「ん…宝物…」
「俺にとって、理世が同じくらいの宝物なんだよ。だから…」
「どうしてもだめなんだ…」
「あぁ。」
どんどんと力をなくしてくる羽桜に比べて変わらずに理世を大切だと言い切る悟浄。
そっと抱きしめる悟浄。そんな相手の腕の中でポロポロと涙をこぼす羽桜がいる。
「大丈夫だ…俺が必ず理世を幸せにするからよ…」
「…約束、だよ?」
「あぁ」
そのやり取りは悟浄と羽桜の二人だけが聞こえる声で行われていたため、理世ですらその会話は聞こえなかった。ゆっくりと体を離せば武骨だが、優しい親指が羽桜の涙の跡をぬぐいとる。
「…ほら、解ったらもう泣くんじゃねぇよ。」
「ん」
「明日はまだいる。だから明日目いっぱい理世と遊んだらいいだろうが」
「…ん…そうする」
「しかも明日になればもう一人騒がしい奴が来るからよ。一緒に遊べ」
「ん…ありがとう…」
そう話せば頭を撫でて見送っていく。手をひらひらと振りながらも出ていった羽桜を見て、理世もまた手を振っていた。