第45章 迫りくる決断…
俯いたままに理世は青藍の前に立てばゆっくりと顔を上げて話し出す。
「…あのね…?」
「何」
「…これからも…その…また一緒にご飯食べたり、出来る?」
「おぅ!そんな事か。大丈夫だよ」
「…よかった…ありがとう」
そう返事をして青藍の分の食器も持てば理世はどことなく嬉しそうに片付けに入っていく。
「……一緒に、か…」
そうして青藍もその場を離れていく。そして一時間、二時間とした時だ。
「…車?」
青藍がふと音の聞こえる方に視線をやれば波珊の使う車が降りてくる。しかもその後ろに人を乗せて…
「…ッッ」
遠目からでもよくわかる…そう…
「…理世!!!」
「…なぁに?青藍。」
「いいから…!そんな片付けなんて!」
「よくないよ。先にやることやらないと!明日の子だって『それどころじゃない!』……あのねぇ…」
「いいから!早く来いって!!」
「青藍?どうしたんだい」
「詩氾!理世と変わってくれないか!」
「青藍!」
ふいっと掴む腕を振り払う理世。じっと青藍の顔を見れば、少しだけむっとした表情で見つめていた。
「…やることはやらないと…」
「そうだけど…今はそれどこじゃない!」
しかし『わぁ…!』と歓声が上がる。
「よく来たな!」
そう口々に話している声が聞こえてくる。
「沙烙って名前が聞こえない所を思えば波珊あたりが来たんでしょ?別にだからって事はない」
「…違う…!波珊だけじゃないんだ!」
「もういいよ、用があれば波珊から来るって…」
ふいっとそのまま洗い物をする理世。カタン…っと音がするものの、振り向きはしなかった。