第45章 迫りくる決断…
こうしてそれぞれが、それぞれの道を進んでいきながらも気づけば一つ、また一つと季節は過ぎていく…
「理世!」
「あ、青藍、今日はどうしたの?」
「いや、理世に会いに来ただけだけど?」
「またまたぁ…あ、そういえばもうじきお昼ご飯にするって言ってたよ?」
「そっか。」
「待ってて?詩氾…!詩氾ー!」
そうして理世はいつも通りに詩氾を呼びに向かっていく。『あの事件』以来、理世と詩氾は揃って幼子の世話を積極的に行っていた。いわゆる、いう所の『託児所』だ。とはいえ、しっかりと預かる!というよりかは集まってくるというのが正しいのだろう…この日はたった一人だけだった。
「…ねぇ、せーらん?」
「どうした?」
「せーらんは理世ねぇちゃんの事、好きなんでしょ?」
「…ッ?!な、ば…ッッ…!そんな事…!」
「いいと思うんだよ?好きなのはいいことだって詩氾も言ってた」
「…ッッ…!?」
ばっと詩氾の方に視線をやる青藍。しかし理世と一緒に話をしていた詩氾はその視線に気づくことも無かった。
「…なぁ…羽桜(ハオウ)?誰に聞いたんだ?」
「だから…詩氾だよ?」
「そうじゃなくて…俺が理世の事を、その…好きだって…」
「詩氾だよ?」
「……ハァァ…」
「見てたら解るよって言ってた!」
無邪気に、そして純粋に聞いて来る羽桜の笑みに青藍はどうしたものかと思っていた。
「いらっしゃい、青藍。一緒に食べていくだろう?」
「えぇ、そうしたいのですが…詩氾…?」
「なんだい?」
「…その…さっき羽桜が言ってたんですけれど…」
「あぁ」
「その…俺が理世の事を…その…」
「好きだって事かい?」
小さくも笑いながら詩氾は青藍の顔を見つつも正面に座って話し出した。