第44章 会いたくて…
それから数日の間、宿に世話になって…
体調もみなしっかりと戻った日。出発となる…
「…本当に長い事お世話になりました…」
「いえいえ、こちらこそ…あれ以来妖怪も来ないでよかったです!」
「本当に、そうですね…」
「行くぞ」
「あ、あの…!」
そこには美鈴がいた。
「…どうかしましたか?美鈴さん。」
「あの、本当にみなさんお体お大事に…」
「はい、お世話になっている間、ありがとうございました」
そう八戒がにこやかに対応していた。三蔵は先に外に出る。両親にそこまで見送りに行ってくると言えば俺たちと一緒に宿を出てきた美鈴だった。
「…それでは、美鈴さんもお体大事にしてくださいね?」
「はい…あの…悟浄さん…」
「んぁ?」
返事をしたのもつかの間だった…美鈴のぷっくりと厚い唇が俺の唇に重なった…・・
「ン…」
「本当に…好きでした…」
そういうだけ言えばぺこりと頭を下げる。
「出しますね?」
そう八戒も小さく言えば沈黙しかない俺に対して真っ先に口を開いたのは悟空だった。
「…理世に会ったら言いつけよ」
「…は?!?!」
「そうだな、離れた途端に女引っかけて遊んでいやがったと」
「遊んでねぇだろうが!」
「でもキスしたことは言ってもあながち間違いじゃないですよねぇ…」
「あながちどころか目の前だな」
「…あれは…!俺の意思関係なくねぇか?!」
「そうは言っても、ねぇ」
「避けれただろうが」
「…それは…ッッその…」
「出来たんだな」
「出来たんでしょうね…」
「避けれたのにしたんだな…」
なんで俺だけこうなんだ…くそ…とはいえ、これから何日…何か月…へたしたら一年とかかるかもしれねぇよ…やっべ…俺のが絶えれるか解らねぇっつぅの…
はぁ…参ったねぇ、こりゃ…
そう思いながらもジープはどんどんと西に…目的地に向かっていくんだ…