第6章 思いがけない行動
「おっそいよ!理世!」
「ごめ…んね?」
しかし席に戻った理世がめにしていたのは、女性の店員をナンパしている悟浄の姿だった。
「…相変わらず、なんだ」
「あのバカは死んでも治らん」
「そうみたいだね…」
「あ!きたきた!いっただきまーす!」
そうして運ばれてくる料理を片っ端から平らげていく悟空を横目で見ながらも全員、それぞれ食べ始めた。
***
ゆっくりとした朝食を食べ終え、宿に戻った時だ。
「じゃぁ、一時間後にここで。時間厳守だからな」
「はぁいよ」
そうしてそれぞれの部屋に向かっていく。悟浄と理世も部屋に入った時だった。
「準備って言ってもそんなに広げてないもんね…」
「…あぁ、」
「どうかし…ッッ…」
ふわりと後ろから悟浄は理世を抱きしめた。
「…ごじょ…ぉ?」
「俺の事、避けてる?」
「避けてはないよ?」
「何もなかったみたいにさ、話してっからよ…?俺避けられてんのかなって…」
「そんなことは…ない…でも・・」
そういうと抱きしめられている腕をほどき、荷物まで歩けば荷支度を始めつつも話し出す。
「…ほら、一緒に旅してるって中で変な気とか?変な空気とか…そんなになるのってやっぱ嫌じゃない?」
「変な空気ってなんだよ」
「…ほら、なんか…うまく言えないんだけど…ね?」
「別にそんな変なことなんてならねぇだろうよ」
「…・・そう?」
「気にしすぎだっつぅの」
「そう、だよね、でも避けてるわけじゃないし!気を付ける!」
「待てって」
そういえばパン…っと手首をつかんだ悟浄。
「…俺が変なこと言いだしたんならいってくんね?」
「特にそういうのもないよ?」
「…そっか…」
その答えを聞けばゆっくりと悟浄も手を離した。