第6章 思いがけない行動
食堂で食事をする五人。その間も昨夜には何も無かったかの様にほかの三人と話をする理世を見て悟浄は『んー…』と少し頭を抱えた。
生ビールが届き、それを飲みながらもちらりとみるものの、理世はけらけらと笑いながらも悟空と話しているかと思えば、チャチャと入れられる三蔵にむぅっと頬を膨らませて怒っている。
「…あれは…なんだったんだ?」
「…悟浄?」
「いや…なんつぅか…」
「本当に何も?」
「……あぁ」
あれ程甘えてきた理世の姿をはっきりと思い出せるほどにまで悟浄の中にはしっかりと残っている。手のひらを見つめている悟浄。
「…あ、」
「はい?どうかしましたか?」
「…・・・んー、なんでもねぇ」
「そうですか?なら僕も聞きません」
「…ハァァ…」
大きすぎるほどのため息を吐くものの、悟浄はぐいっとジョッキを持ち上げた。
「ごめん、私ちょっと…先におトイレ行ってくる」
「さっさと行ってこい」
そういわれながらも理世は席を立つ。そのまま一人で個室に入ればちらりと服のボタンを一つ外す。
「…もぉ……なんであんな普通なの…?」
その視線の先には昨夜に付けられた小さなキスマークが二つ、胸に咲いていた。するっと触れれば昨夜の熱がよみがえる。
「…ッッ…ずるいよ…悟浄…」
ゆっくりと唇に触れればキスしたくなる…そう思いながらもはっと我に返り、急いで席に戻っていく。