第43章 旅路の中で
「思ってることあるんだろ。いうだけ言ってみろ」
「聞いてくれんの?」
「聞くだけだ」
「……なんかさ?ザワザワするっていうか…痛てぇわけでもねぇし…だからと言ってなんか…もうよく分かんねぇんだけど…」
「……」
「おい、三蔵?」
「あぁ、聞いてる」
聞いてる…あぁ、聞いてくれてんだけど…それについて何かねぇのかよ…
「…それでよ、理世の声が空耳で聞こえたり…」
「あぁ…」
「…・・・ーーーーなんかねぇの?」
「ないな」
「は?」
「言っただろう、聞くだけだ…と。」
「…俺話してる意味あんの?コレ」
「意味はてめぇで決めろ」
「……はぁ…」
いうだけ言わせて…なんなんだっつぅの…煙草に火を点け、ぷかりと煙を悠長に吐き出してやがる…
「…満ちるも欠けるも、自分で考えろって事だ…」
「は?何言って…」
「・・例えばうるせぇ位に理世の声が聞こえてくるんなら何かの前触れってこともあるだろうし。だからとて、何もなくただの貴様の耳が腐ってきただけかもしれねぇ…」
「おいおい、ひどい言い草じゃねぇの」
「…だろうが…だからてめぇで考えろって言ってる。」
考えろって…何をだよ…
「フッ…マジで脳みそゴキブリ並みだな」
「ぁあ?悟空ののみそ胃袋並みみたいに言ってんじゃねぇよ」
「聞こえた声…」
「……声?」
「それがどんな感じだったのか…どんな風だったのか…それはお前だけに聞こえたんだっていうならお前が判断するしかねぇだろ。少なくとも『理世の声』だっていうなら…」