第43章 旅路の中で
「にしても…」
そう俺は口を開いた。目の前には思いっきり妖怪が大量発生している。
「グヘへへ…この数なら余裕だろう?!」
「経文よこせぇ!!!」
ガウン…!!
おー、珍しく三蔵が一発目いったな。
「……おい…!噂に聞いた女が居ねぇ!」
「どういうことだ!ガセネタか?!」
女…?あぁ…
「理世の事でしょうか」
「だろうな…」
「なんでこいつら、理世がって言ってんだ?」
「…あ」
「なんだ八戒」
「女を守ってれば一人は空く…=4人引く1人は?悟空」
「3人?」
「正解。その人数なら自分らが有利だとお考えになったんでしょう?」
「……ばかばかしい…」
確かに、今だけは三蔵に同意だわ…
「でも、残念だねぇ…」
「そーそー!」
「理世はよ?俺の女なんだって、渡さねぇよ?」
そう言いながらも俺は妖怪を切っていく。
「誰のものかって話はしてねぇだろうが」
「え、そう?」
「どっちにしても予定外だったですもんね」
「理世いねぇし?」
「てことは…」
「てめぇの体はてめぇで守りやがれ」
「言われなくても!!」
なっつかしー、こんな風に三蔵までもが妖怪に飛び込んでくのはな…ずっとジープの上で守ってたもんな…そりゃ…
「愛しちゃうよな」
「なんの話だ」
「んー?これだけの妖怪たちに三蔵も愛されちゃうよなって話」
「要らねぇよ。なんなら貴様に熨斗付けてくれてやる」
「遠慮するわ」
俺も嘘がうまくなったなぁ、マジで…でも、相変わらず三蔵の経文狙いってすげぇ数来るよな、どっからわいてきてんだかって正直思うわ。