第43章 旅路の中で
思っていた通り、朝食を食べればそのまま山を下りようとしていた。
「なぁ、沙烙…」
「んぁ?」
「頼んだ…」
「おう、任せておけ。ただ…」
「ただ?」
「一週間くらい後になるだろうけどな?」
「それはいい。任せるわ」
そう言って俺が作った不格好なブレスレットを沙烙に託して、波珊の言うとおりに山を下りていく。とはいえ、座席はいつもと同じ。何も変わらなかった…
「…そういやさ?今度の街ってどんな何だろうな!」
「さぁ、みなさんの話だと三日ほどは無いかと思うとの返事だったのですが…」
「うぇぇ…でも、食料もたっくさんもらったしな!」
「食いすぎんなよ?!猿」
「猿っていうんじゃねぇよ!」
相変わらずだ。…ーーーそう、何も変わらない…本当に…前と同じ状態で…段々と誰もが理世の名前を出さなくなった…
それでもひょんな時には探しているんだろうなと思うくらいの表情を見せてくる…
***
そんな三日目の夜…
「なぁ、三日目には着くんじゃなかったのかよ」
「そのはずなんですがね…」
「チッ…」
「なぁぁ…腹減った…」
「こっちはヤニ切れがつれぇっつぅの…」
「そういわれましても…」
「どこか停めろ…明日には着くだろ」
そう三蔵が珍しく野宿に賛成した。
「…すみません…三蔵」
「お前が悪いわけでもねぇだろうが…」
「おかしいですね…」
「道、間違えたとか?」
「そういうわけでもないと思うんですが…異変の関係で地形も変わってますし…」
「仕方ねぇってか…」
ふかふかのベッドに…湯船にのんびりとつかる…それが今は恋しく感じる…