第38章 寂しい心…
「ありがと…沙烙…」
「いいって、問題は無い」
「…ッッ」
キュッと手首に巻いたブレスレットを握りしめる。どんな顔をして作ったのだろう…それを考えるだけで私の心に会った寂しさの闇はきゅっと締め付けられるように埋め尽くされていく。
「…少しは気持ち的に楽になったか?」
「…沙烙…」
「死にそうな顔して、離れたことを後悔しているような表情で…そんなんで接客されても困るだろうからな」
「…ッやっぱり…」
「ん?」
「三蔵にも言われたことあって…」
そう、嘘付きとおせねぇなら初めから嘘つくんじゃねぇよって…
「全く持ってその通りだな」
「だよね…」
もう笑うしかない…私はどこまで甘えて…どこまで解りやすい単純で…だけど、それでも今まで三蔵に救われて…八戒に怒られて…悟空に心配されて、悟浄に…愛されて…・・
そうしてここまで生きてこれた…だけど…
「…やっぱり私は…一緒に行きたかった…」
「理世?」
「でも、甘えてばっかりはいられないから…きっと疲れ切って帰ってくるはずだから…」
「…それは悟浄が、か?」
「ううん?皆。悟空も八戒も、三蔵も、悟浄も…」
「そうか…」
「その時に何もできていない、甘えてばっかりの私のままだと絶対『何してやがった』って怒られそうだし。しっかりしないと」
「その言い方だと玄奘に言われるみたいに聞こえるが?」
「絶対言うでしょ。三蔵なら」
表情が、心が軽くなった気がした。自分でもしっかりと分かるくらい…単純なんだって本当に思い知らされる…
それでもいいんだって思えるのは、こうして私の知らない所で悟浄も私の事を考えてくれてるって…こうして形でもらえたのが…嬉しかった…