第38章 寂しい心…
「沙烙?お待たせ」
「あぁ。」
「あれ、波珊は?」
「他の所の見回りに行った」
「…そっか…」
「なんだ、会えなくて寂しいか?」
「波珊に?」
「あぁ」
「あ、それは大丈夫!」
「…あいつも不憫な奴だな…」
「それで?沙烙は何の用だったの?」
「…フ…」
すっと出されたのは一本の細い革のブレスレットだった。
「…これって…沙烙からのプレゼント?」
「なんでだよ。私からので嬉しいか?」
「嬉しいよ?ありがとう!」
小さく笑いながらもきゅっと結んだ。
「お、自分で結べたか」
「そりゃ、この位は…」
「悟浄と違うもんだ」
「……・・え?」
何で悟浄…?
にやにやとしながら沙烙が私を見ていて、私はもらったブレスレットと沙烙の顔を見比べるしかなくて…
「それ、本当に私からだと思うか?」
「…だって…」
「悟浄からだ」
「…なん…で…」
「別れた日、私の所で辛気臭い顔してるから提案した。まぁ、残ってる革紐だったから?失敗したら自分の分がなくなると言ったらめっちゃ必死こいて作ってた」
「…ッッ」
「色、形、同じもの悟浄も付けて行ってる。まぁ、あっちは途中で切れる可能性もあるがな?」
「…どうして…」
「一緒に居たいんだと。ほんの少しでも」
だって…私は…
「私…何もあげれてない…ッッ」
「気にするな、最後の村がここじゃあげれるものはそうそうない。」
「…ッ…沙烙…」
「ん?」
「もう…とっくに会えない距離だよね…」
「あぁ、そうだな」
「…ッ届けてくれて、ありがと…」
「いや、遅くなって悪かったな」
そういう沙烙にきっとわざとこの時なんだって…さすがに鈍い私でもそれは解った…