第38章 寂しい心…
初日はあっという間と言わんばかりに時間が解けていく感覚に陥った。しかし休憩もしっかりとくれ、昼食は賄いをいただけて…本当に至れり尽くせりだった。
「…まだまだ初日…なのに…」
「疲れたかい?」
「あ、なんかこんな風に働くのってずっとなくて…」
「そうかい、でもたまにはこういうのもいいだろ?」
「そうですね、でも楽しいです!」
にこりと笑う。その笑みに少しでも自分の心に蓋が出来たら…そう思ってもみた。だけど…そうも言えなくて…
言えに戻ればシャワーを浴びる。
「…ッ…」
視線を落とせばまだ色濃く残るその痕が見える…そっと触れればその熱が胸を焦がす様によみがえる。
「…悟浄…」
自分自身を抱きしめる様にきゅっと体を縮こませてみても抱かれた様に愛おしいその人はいない…名前を呼んで、唇をなぞって…それでも『その温もり』はここにはなくて…
「…ッッック…ヒック…」
解ってた…こんな日が来ること…
ちゃんと納得してた…
三蔵に言われて…そうじゃなくても…ちゃんと解ってた…
付き合ったからってずっと一緒に居られる奇跡なんて砂漠で砂金を見つける位の確率だって…
だって…
元の生きる世界が違うんだから…
「…でも…でもぉ…」
心が追い付かない…別れてすぐの日でこれじゃ先が思いやられちゃう…
三蔵の言ってたことが今になって解る…
こういう事だったのかなって…
『泣く事になるぞ』
あの時には、私…悟浄がチャラいから…ナンパとかしてるの見てつらいことになる…それにセフレなんて本気になったら辛いだけだ…そう言ってるんだって…思ってた…