第38章 寂しい心…
だけど…そうじゃなかったのかもしれない…
三蔵の事だから…『こうなる事』も解ってたんだと思う…
「…だけど…」
そうだよ…いまさら気付いてももう遅い…
たった一回…あの夜に抱かれただけで終わってたら…そうしたら…こんな風にならなかったのかもしれない…
三蔵とのあの日、雨宿りの日にキスしたことで…
悟浄と別れてたら…?
そうしたら…こんな風になることも無かったかもしれない…
だけど…それでも…・・・ーーーー
あの時、あの日…私は悟浄の横に、隣にいる事を選んで…
いつだって…私は悟浄を求めてた…同じように悟浄も…・・
「…会いたい…」
どれだけ願ってももう進んでしまったから…選んだことを後悔しない様に…私はここで待つしかない…
「…悟浄…」
自分自身をきゅっと抱きしめて…目を閉じてみる…
そうすれば…少しでも悟浄の事を思い出せたら…
『理世…好きだぜ…』
『…泣いてんじゃねぇって…ほら、泣き止め…』
耳に、瞼の裏に…悟浄がいつだっている…大丈夫…そう言い聞かせて…苦しくなる夜をこれから何度も繰り返すんだ…
そのたびに…悟浄を思い出す…
あの緋色の愛に抱かれた日々を…悟浄に愛された日々を思い出して…
今はただ…
離れた悟浄の無事を願うしか他無くて…
それでも必ず戻ってきてくれるから…それを信じて
ゆっくりと湯船から体を持ち上げて、濡れた体を拭けば、私は一人きりのベッドに体を埋めて眠りについたのだった。