第34章 デジャブ
「ーーー・・…それで…私の事連れてってくれたの?」
「あぁ。だから特別な理由はねぇって言ったし、あいつらも言ってただろうが。」
「…えーっと…あ。」
そこでふと理世の頭によぎった事。それはジープの上で三蔵に言われた言葉だった。
「…それって…三蔵が言ったんじゃない、ガキみたいに駄々こねたって…」
「ほぅ、覚えてるじゃねぇか」
「……でも…」
「ぁあ?」
「…ごめんね…そう言っても私、そうやって言った事も覚えてなくて…」
ふと視線を落とした理世の頭に手を置いて三蔵は話をつづけた。
「…どうでもいい事だ。」
「え?」
「連れ歩くきっかけになったのは話した通りだがな、だからと言って今、俺が後悔してるかといえば、んな事はねぇんだよ。だから問題ねぇ」
「…ッッ」
「それともなんだ、お前は後悔してるのか?」
「…後悔って…」
そう、後悔しているかと言われても突然飛ばされてきた理世にとって一緒に行くという選択肢は自身が生き延びるための物だった。…とはいっても、だ。
「…後悔はしてない…」
「ならいい」
「…三蔵…?」
「なんだ…!」
「ありがとう」
フッと笑いながら小さく告げた理世の言葉に三蔵もまた小さく『あぁ』と答えるだけだった。
「…それじゃ…いくね?」
「あぁ」
そう話して部屋を後にすれば理世は悟浄のいる部屋に向かっていく。
「…ただいまって…あれ」
「おやおや、終わりましたか?」
「ん、ありがと…八戒」
「いえ、大したことじゃありませんよ」
そうしてよっこらせと似つかわしくもない言葉を吐きながら八戒は立ち上がる。
「それでは、また」
「おー」
「ん」
そしてその部屋から八戒は出ていった。部屋に二人きりになった理世と悟浄。
「…それで?解った?」
「ん…すっごいわがまま言い放題だったことが」
「…にしても、あの時の理世と比べたら相当落ち着いたっていうのも解るだろ?」