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緋色の愛で抱いて【最遊記悟浄夢】

第34章 デジャブ


「誰かの役に立ちたいって…本気で思ったの。私でも役に立てるかもしれない…」
「足手まといだ」
「…確かに戦ったりとか、妖怪に免疫ないかもしれないけど…!」
「免疫なら僕等でつきますけどねぇ」
「え?」
「僕ら、妖怪ですよ?あんまり大きな声では言えませんが」
「…うっそ…」
「本当です。」
「あ、俺も!」
「俺もだわ」
「てめぇは半妖だろうが」
「え?」
「悟浄はハーフですよって話です」
「…そっか…でも三蔵さんは人間でしょ?目つき悪いけど」
「…てめ…」
「ふははは!てか三蔵にこれだけ悪態付ける女もいるんだな」
「…悟浄!私には理世って名前あるって言ってますけど?」
「おんやぁ?名前覚えてくれてんの?」
「近い近い、離れてください」
「ははは!悟浄フラれてやんの!」
「まぁ、いい距離感じゃないですか?」
「……だからって守りながらは厄介だぞ」
「…それは三蔵の範疇でしょう?」
「なんで俺なんだよ」
「だって…三蔵になついてますし」
「ますし?」

『のっかるな!』と言わんばかりにじろりとにらみを利かせる三蔵の眉間にしわが入る。

「…ねぇ、三蔵さん…」
「なんだ!」
「しわ増えてるといろいろとしんどいよ?」
「あのなぁ!」
「…私…ずっと欲しかったの…」

そう言って理世はさっきまでの勢いをなくしたように俯けばふぅっと息を一つ吐いた。

「…何が欲しかったわけ、理世チャンは」
「…帰る場所…」
「…ッッ」
「なんでも好きな事が出来て、自由だね!親も家族も口うるさくなくて自由だね!って…よく言われてる…でも本当の自由って…帰る場所がある事なのかもしれない…そう思うの…」
「……」
「神様を信じるのはとっくにやめた…」
「なぜ…?」
「だって…信じても救ってくれないもの。自分で動き出さないとって…そう思う。動き出すのも…帰る場所があって…だからこそ好きに動き出せるって…そう思うから…」

そう続ける理世の言葉に三蔵は少し目を細めて理世を見つめるのだった。
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