第31章 嫉妬
「帰ってきたよ!!八戒!悟浄!!」
「あぁ、やっとか…」
「ただいま」
そう笑いかける理世の顔をみた直後に悟浄は腕を引き、宿の中に連れて行った。
「…あのバカは何考えてるんだ」
「あぁ、三蔵、おはようございます。」
「飯行くんじゃねぇのか…」
「恐らく、ですが…」
「なんか機嫌わりぃんだよ、悟浄。」
「まぁ、察しは付くかと思いますが…」
「フン…くだらん」
そうして一旦宿に戻る三人。
「…所で三蔵?」
「なんだ」
「昨夜理世とは?」
「何もねぇよ」
「…何もない、ですか?」
「あぁ。」
「…しかし…」
「見張りなんぞ退席させた」
「……と言う事は…」
「いっただろうが…俺は人の物に手を出すほど飢えちゃいねぇよ」
するっと交わす様に三蔵は悟空を追う様に宿の食堂に向かっていくのだった。そしてそれを八戒が追いかけていく。
その頃の悟浄と理世は、悟浄の部屋に押し込められ、後ろからグッと抱き寄せられていた。
「…悟浄…」
「解ってんだよ…何もなかったって事位…でも…いっただろ…気が狂いそうだって…」
「…本当に何もないよ…?」
「あぁ」
「抱かれてもないよ?」
「でも…ッッ夜伽が通例だって聞いて…」
「そうみたいなの、でも三蔵が見届け人の人二人とも人払いして…それで何もなく済ませてくれた…」
「…ッ」
「まぁ、お布団が一組しかなかったから一緒には寝たけど…」
その言葉を聞いて悟浄の抱きしめる腕にグッと力がこもる。
「…練り歩きの時だって…」
「あの衣装は私もびっくりして…でも三蔵あんまりこっち見なかったし…」
「でも…」
「悟浄…」
そう名前を呼んで腕の中から何とか体の向きを変えればきゅっとっ巻き付いた。