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緋色の愛で抱いて【最遊記悟浄夢】

第30章 花贈~hana okuri~


「おはようございます。三蔵法師様、そして巫女様」
「…ッッ、すみません…まだ三蔵起きてなくて…」
「いえ、こちらこそどうかと思い…もう少し後でお伺いいたします。」

そうして長も部屋を後にする。

「…もぉ…三蔵…?」
「…んだ…?」
「起きて?朝」
「…うるせぇ…」

そう言って抱き寄せられる。完全に寝ぼけているのは解ったものの、着崩れたガウンから素肌にしっかりと密着する形になっていることに気づいた理世はどうしても離れたくなっていた。

「…三蔵…お願い、起きて?」
「…ン…ぁあ?」

ゆっくりと瞼を開けばそこには理世の顔がどことなく困った表情で写り込んだ。

「…起きていたのか?」
「ちがくて……さっき…町長さん?かな?あのおじさん来て、起きましたか?って…」
「放っておけばいいだろう…」
「そうもいかないよ。みんな待ってるかも…」
「…ハァ…飯、か…」

ゆっくりと体を起こして前髪を掻き揚げる。少しすれば昨日付き添ってくれた女性が入ってくる。

「…巫女様、おはようございます」
「あ、おはようございます…」
「おや、三蔵法師様も起きていらしたんですね」
「…あぁ」
「早速ですが…お部屋にご案内させていただきます。昨夜はお疲れさまでした」

何も知らされていない、当然情事を行ったと思われている。それを否定も肯定もしないままに二人はその部屋を後にして、着替えをし、宿に戻っていった。

「…あ!!!!」

その素っ頓狂な声を上げたのは他の誰でもない、悟空だった。
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