第5章 キスで酔わせて
「ねぇ?理世チャン?」
「…なに?」
「解ってる?男にソレ、する意味」
「…いみ…って…言っても…」
「ん?」
うまく返事も出来ないままに理世はふぃっと悟浄から視線を外す。しかし、こうなった悟浄に敵う訳もなかった。
顔を背けた事で露わになった首筋に、ちゅっと唇を這わせる。
「…目、逸らすなって」
「…でも…」
「それとも、あぁ言われたら誰にでもすんの?」
「そんなことは…ない…」
「…へぇ?」
体を重ね、耳元で囁くように話している悟浄の声にぐっと目をつぶる。
「…ん?どうかした?」
「どうかしたって…・・ッッ」
「何?」
「ごじょ…・・近い…」
「そりゃ近くもなるだろうが、迫られたら」
「…迫るって…ン」
お返しと言わんばかりにぺろっと耳を舐めている悟浄の舌が容赦なく理世の鼓膜を刺激する。
「…ツ…ごじょ…ぉ」
「何?」
「もっかい…キス…したい…」
「・・ん」
好きなどの愛の言葉など互いに紡がれる事もないままにゆっくりと二人の唇が重なる。ゆっくりと重なれば、触れるだけのキスからゆっくりと離れる。
啄む様に何度も繰り返されるキス…それが何度か繰り返した後に、悟浄はふっと笑いかける。