第4章 襲撃、守る腕
「俺、こっちでもいい?」
「え?」
「窓、近いからよ」
「…ん、いいよ…」
そうしてベッドの位置も決まった。カチ、コチ…と時計の音もする。何をするでもなく、静かな夜が戻ってきた。
「…こりゃ、星がきれいだねぇ」
「…え?」
「見てみろって、さっきまでのが嘘みたいだろ」
「…ほんとだ…」
そうして窓際に近づく理世。ふと悟浄に視線を移せば、ぱちりと目が合った。
「三蔵もだけど…」
「ん?」
「煙草って、おいしいの?体に悪いだけだと思うんだけど…」
「吸ったこと、ねぇ?」
「あるわけないでしょ、そんな税金の塊…」
「言い方ひでぇ…」
クツクツ喉を鳴らしながらも笑っている悟浄。それに合わせて半分ほど吸ったハイライトを灰皿に押してもみ消す。
「…もったいないじゃん…」
「ん-?」
「…・・・悟浄…」
「んー?」
「…もぉ、さっきから『んー?』しか聞いてない」
「何よ、どうかした?」
「……さっきのお礼と、今いてくれる…その…お礼」
「ん?あぁ、いいって…ン…」
どくどくと煩いほどの鼓動を持ったまま、理世はベッドに乗り悟浄の唇に自身のそれを重ねた。
「…ッ…」
「これ…しか…その…」
「…たく」
ぐいっと腕を引いて、どさっとスプリングが揺れるほどに理世の体をベッドに転がした悟浄。サラリと頬にかかるその髪に気を取られながらも下から見上げるしかない理世の顔の横には縫い付ける訳でもない悟浄の手が、ぐっと置かれていた。