第30章 花贈~hana okuri~
翌日、朝食を摂るべく全員揃った時だった。
「なぁなぁ!昨日は何をあげたわけ?理世!!」
「…ッッそ、れは…」
「悟浄もめっちゃ機嫌いいしさ?!なんかすげぇいい物なんじゃねぇかなって思って!」
「それは…その…いい物かどうかは…その…」
「理世だ。」
「へ?」
「悟浄!!」
「んー?」
「そんなの知ってるってば!理世から何貰ったのって聞いてんだって…」
「だぁかぁらぁ…理世」
「…へ?」
「ははは、朝には似つかわしくない会話ですねぇ」
「いつの時間帯だって似つかわしくねぇだろうが…」
「それもそうなんですがね…?」
わいわいと話している悟空と悟浄の間には真っ赤になっている理世が取り残されるようにして挟まれていたのを見て三蔵は小さくため息を吐けば、ハリセンで二人の頭をパシィン…!!と殴り倒すのだった。
そうこうとしながらも次の街に向かっていくことにした。
***
そして出発してから三日後…次の街に着いた。しかしながらも何か異様な雰囲気だったのは誰もがすぐに悟った。
ざわつく街中…ーーー
「三蔵…?これって…どういう事でしょうか?」
「アウェイってわけでもなさそうだが…」
一瞬音がすべてをなくした直後だ。街が沸き上がった。
「…三蔵法師様だ!!」
「巫女様もいるぞ!!!」
「は、花贈の準備を!!!」
次々に聞こえる声に一行は唖然とするほかなかった。
「なぁなぁ、三蔵法師様は百歩譲ってわかるとしてもよ?」
「なんで譲らなきゃならん」
「まぁまぁ、『巫女』って何?」
「誰の事?」
「…はて…」
誰もがその存在について解らなかった。しかしその正体はすぐに解ることになった。
「ようこそ!!この街に…三蔵法師様がやってきてくださるとは…しかも…巫女様まで…」