第29章 ハジメテの感覚
「あ、の…悟浄?」
「んー?」
「このままだと…何もないままに誕生日終わっちゃうけど?」
「終わらせねぇよ?」
「…あの」
部屋に戻ったタイミングの二人。畳の上に胡坐をかく悟浄は手招きをする。それに誘われるように理世もまた、近づいていった。
「…何々?決まった?」
「俺的にはとっくに決まってる」
「え?」
くっと何かを口に含んだ悟浄。手招きされた理世は手を引かれて前に座り込めば後ろ首に手を回してグイっと引き寄せられた。
「…ン…・・ゴク…」
口移しで飲まされた『何か』に理世は驚いたものの、ゆっくりと離された唇に少しだけ物足りなさを感じていた。
「…悟浄…?何、なんだった…?」
「すぐに解るさ」
「…すぐって…ッ」
ドクン…っと体の芯が熱くなってくる感覚に襲われた理世。
「…お酒かなんか?」
「いんや?違う」
未だに何かがよくわかっていない理世。しかしそっと手を取られた瞬間だった。
「…ン…」
「ちょっと強めの即効性を手に入れてたんだけどよ?このタイミングってのは思ってもなかったけどな」
「…即効…ッッ」
「クス…媚薬だ」
そう言われた今でさえ、理世の思考は少しずつ、しかし確かにふわふわとしてくるのだった。
「…少しだけ待ってな?」
「や、ぁ…行かないで…」
「シャワー浴びてこようかと思っただけだ」
「行っちゃ…やだ…」
「理世…クス…」
小さく笑えば悟浄は触れそうで触れない距離に座り込んだ。
「…かわいいじゃねぇの…」
「…ン…ァア…」
「着替え…手伝ってやろうか?」
「着替えって…」
「ま、あの花魁の格好はエロ過ぎっかな…」
ニッと笑えば悟浄はそのままどさりと組み敷いた。