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緋色の愛で抱いて【最遊記悟浄夢】

第28章 不意打ちの情


『文句があるならあのバカに言え』と責任転嫁する三蔵だった。
そんな三蔵に詰め寄る様につかつか…っと歩み寄る悟浄は、ぐいっと胸ぐらをつかんだ。

「あっぶねぇだろ!死ぬとこだったわ!」
「ぁあ?日頃の行いがよけりゃ死なねぇだろ」
「…お前のあれはそういう次元じゃねぇって事を理解しやがれ!」
「耳元で騒いでんな。だったらさっさと片付けりゃよかっただろうが」
「…あー?」
「まぁまぁ、早く乗ってください?少しでも先に進みたいんです…」
「ふん…!」

ぱっと手を離し、悟浄はジープの後ろに乗り込んでいくのだった。

***

そうして五日目の朝。ようやく次の街の片鱗が見えてきた。街に着けば悟空が飛び降りるもののすぐに膝をつく。

「…ご、くう?大丈夫?」
「あぁ…腹…へったぁぁぁ…」
「んな事かよ、こっちはヤニ切れのがしんどいっつぅの。」
「…の割には三蔵はおとなしいですね」
「フン…どっかの馬鹿どもと一緒にするな」
「三蔵ぉぉ…腹減ったよぉ…」
「先にご飯でも行きましょうか」
「仕方ねぇ…」

そう話しながらも嬉しそうに走り出す悟空を追いかけて四人は後をついていく様に歩いていた。昼食もいつも通りと言わんばかりに悟空の食べっぷりには圧巻だった。他のメンツもそれなりにしっかりと食事をとって行く。

「…ハァァ!!くったぁ!」
「おめぇは食い過ぎだっつぅの…」
「ははは」
「次はお宿、でしょうかね…」

そう話しながらも宿屋に向かっていく一行。しかしそこで問題は発生した。

「…は?」
「ベッドがねぇって…どういう事だ?」
「ですので…」
「悟空、つまりは床にお布団って事ですよ」
「…体痛くならねぇかな…」
「それは大丈夫だと思うのですが…」
「本当にすみません…」
「いえいえ、謝らないでください」

そう八戒は宿主に伝えていた。

「…そこ、二部屋」
「かしこまりました。あの、失礼ですがおタバコは…」
「吸うのが二人いますけど…」
「禁煙部屋ですが…」

『マジか…』とあんぐりとするものの仕方ねぇ…と決めたのだった。
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