第28章 不意打ちの情
そんな二人を見ながら八戒と悟浄は顔を特段見合わせる事も無いままに、話を始めた。
「…またいちゃついてますよ?いいんですか?」
「ありゃいちゃついてねぇよ」
「おや、あなたからそんなセリフが聞けるようになるなんて」
「だってそうだろうが。そのまま放置でもいい。今のままならな?」
そう話している最中、再度三蔵の銃声がして目をやればビタっと悟浄の動きが一瞬止まる。
「…あれでも、ですか?」
そう、いくら妖怪が来たからと言って三蔵が理世を胸に抱きかかえ込む様にして抱き寄せていた。
「…あれは、別によ?そりゃあの生臭ボーズがあぁでもしなけりゃ理世死んでんだろ…」
「そうかもしれないですが…」
「……だぁぁーー!!おい!この…ハゲ三蔵!!!!理世は俺の女だっつぅの!」
返事がないままにも銃口を向けて三蔵が悟浄に向けて一発発砲した。
「…あ…・・ぶねぇぇ!!!!!」
「…死ね…」
「てめぇはよぉ…お前の経文欲しさに沸いてんだろうが!!なぁんで俺らが血眼になって退治してんだって話だろうが!」
「この程度で血眼になるとはな、貴様もまだまだだってはなしだろ」
「ならてめぇで何とかしやがれってんだ!」
「貴様も滅されてぇって事でいいんだな?」
そういえばぶつぶつと何やら唱えだす三蔵。
「…あー、完ッッ全に怒らせましたね」
「…おいおい、三蔵?」
「…・・・アンマニハツメイウン…魔戒天浄!!!!」
ぶわりと三蔵の肩から経文が広がっていく。その姿を見つめた理世は思った以上に目を奪われていった。
しかし時期にシュルルル…っと元の形に戻っていく。
「…ほんっっとかわいげねぇな!」
「まだ何か文句あるのか」
「あのぉ…三蔵?」
「ぁあ?」
「悟浄の売り言葉に買い言葉でそれ、発動させるのやめてもらってもいいですか?」
そう八戒はにこやかな笑みを添えて話し出した。