第26章 看病への逃避
「は、八戒?それだと言ってる事がおかしいよ?」
「おかしくはないですよ?」
「だって…一部のって言っても…」
「はい?」
「そりゃ…悟空とかは解るよ?悟浄や八戒も…」
「なぜそこにあなたが入らないんですか?」
そういわれて理世はきょとんとし、言葉を失った。
「…だって…そんなに出会ってまだ間もないし…」
「そうなんですよね…?あなたになってから…」
「…・・・ッッ…」
「理世自身にあってからではそれでも一年くらいになると思います。それでもあなたであっても数か月は経っています。」
「…たったそんな短時間で…」
「短時間であろうとあなたを連れて歩いているのがいい証拠です。」
「……」
「短時間でも、三蔵が信じると決めるには十分すぎる時間ですが?」
「…そういうもの?」
「はい。彼にとってはそういうものです。」
そう話す相手が八戒だったためだろうか、それとも三蔵の人柄がそうさせているのか…理世には少しわからなかったものの、それでもなぜか不思議と納得してしまった。
「…と言う事は、私もその一部の人間になれてるって事…かな…」
「そうですね」
「そか……」
「で、嬉しそうにしているところ申し訳ないのですが、悟浄との仲直りはどうするんですか?」
「……そうだった…」
にこやかに笑って言われた八戒の言葉が理世の中にこだまする。
「…喧嘩…っていうか…私がただ単に悪かっただけで…」
「そうとも言えませんよ?理世」
「…だって…」
「まぁ、そうは言っても三蔵にも落ち度というか、やり方の行き過ぎた点はあると思いますし…ただ、雨宿り位でそれだけ目くじらを立てるのも今まで悟浄がやってきたことと比べればなんてこともないのですが…」
そう、はっきりとした口調で八戒は続けて話していた。