第25章 手放したくないのは…
理世の頬の涙の跡をそっと親指で拭う悟浄。悟浄には珍しくどことなく寂しそうな…泣きそうな顔をしていた。
「…ごじょ…ぉ?」
「…わり…こんなに…俺の中で独占欲強ぇなんて…俺自身も知らなかったわ…」
「…でも…」
そういえば理世はそっと悟浄の頭を抱きかかえる様に抱きしめながらも呟いた。
「…悟浄は…ナンパとかしてもいいよ…」
「は?」
「今日の事がどうとかじゃなくて…今後もこういうことがあるかもしれないとかじゃなくて…」
「…理世?」
「…本当は『ナンパとかはやめてほしい…』っていうのが普通なんだろうけど…それでも私はナンパしてても悟浄が好きで…」
「それは前にも聞いた」
「…ん、それから変わらないから…大丈夫…」
「でも、それ聞いてよ…それがあって今回の三蔵の対応だとしたら?」
「それはないよ…」
「言い切れんの?」
「遊びだよ…多分。」
「……遊びであいつがするかぁ?」
「遊びっていうのは語弊があるかもしれないんだけど…それでも私は本気でどうのって感じは受けなかったから…」
「…そか…」
「でも、私は気を付けるから…」
「…気を付けてもどうにもならねぇだろうが」
「…なる様にするよ」
なる・ならないで口論になりかけてもすっと理世の上から退いた悟浄。
「もう、いいよ」
「いいって…何?」
「別に、俺も気にしねぇようにするしよ?」
「…それじゃ解決にならないじゃない…」
「解決云々じゃねぇだろって…」
「…ッッ」
「……そうだろ?」
「…わかった…もう好きにしたらいい…悟浄のバカ!」
そういい、理世はベッドの上から飛び降りて服を整え、そのまま部屋を後にした。
「…もぉ…悟浄の…バカ…」
ばたんと締まる部屋の扉を見て悟浄もまたため息を吐き、髪を掻きあげた。
「…どうしろっての…これだから恋とかって…よく分かんねぇ…」
そう呟いていた。