第25章 手放したくないのは…
♢ Side 悟浄 ♢
すっげぇ土砂降りの中、やっと帰ってきたと思ったら二人してしれッとしてやがる。だけど…何か違和感があって…二人が少しずれて俺の横を通り過ぎた時だった。
違和感が嫌な『確信』に代わっていく。
言われてみればいくら雨宿りしていたとはいえ、ほとんど濡れていないという不思議な事と、なぜか二人から同じシャンプーなのか、ボディソープなのか…石鹸の香りがしてくる。ついたばかりで、まだ風呂の『ふ』の字も入ってねぇはずなのに、だ。
部屋に戻って、俺と理世が二人きりになった時に聞いてみれば何かをもごもご隠しているのは一目でわかった。
「…俺が知らねぇだけかもしれねえ…」
「なぁに?」
「風呂に入れて、服の洗濯ができるのはラブホくらいしか知らねぇんだけど?」
他にあるなら教えてくれよ。そんな事はないって、銭湯かもしれねぇし?そう思っていたんだけど…いやな予感は的中した。
話を聞けば聞くほどに三蔵に触れられたことが解る。抱かれてこそねぇにしても、触れて、キスして…
あの三蔵が、だ。
なんで理世なんだよ…どうして…そんな思いと、理世が言いにくそうに隠そうとしていたことから『やましい』自覚はあったのだろうな…
合意とか、そうでないとか…そんなの関係ねぇ。あの三蔵の事だ。合意でなくても思い切り拒否られてれば手を引くはずだ。にも関わらず、こうして諸々触れられていたと言う事は…理世も心なしか嫌じゃなかったはずだ…
そう考えれば考えるほど、嫌気がさす…気が狂いそうなほどに…今すぐ隣の部屋に行ってぶん殴ってやりてぇ…だけど…
何よりも今、俺自身にムカついてる…不思議なくらいに…俺が一緒に行けばよかった。猿の言う事なんざ放っておいていつもみたいに三蔵に『保護者』を頼んで…
そうだ…俺の落ち度でもある…
触れさせたくねぇなら…俺の腕に閉じ込めておけば…よかったんだ…
俺だけの女でいてほしいから…こんなに俺って独占欲強かったっけなぁ…笑えて来る…
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