第25章 手放したくないのは…
少しずつ目が細くなり、怒鳴りこそしないものの明らかにいつもの茶化している様子とは打って変わって、真面目に聞いている悟浄。その表情に理世は緊張していた。
「…それで、その…雷が怖くて…」
「雷、あぁ、確かになってたな」
「私が怖くて…三蔵に巻き付いたんだけど…その時にちょっと抱きしめてくれることはあって…」
「……で?」
「でって……それだけ…」
「…マジで言ってる?」
「それは…」
「視線。俺の事見て」
しかし直視できない理世に悟浄は続けた。
「俺のカンなんだけど、なんかされたろ」
「…それは…」
「即答できねぇって事は何かあんだろ、言っちまえって」
「……ス…」
「ん?」
「キス…されて…」
思いがけない事だった。まさかとは思っていたものの、ここまでカンが当たるとは悟浄も思ってはいなかった。
「…後は…?」
「あとは…本当に…ン」
突如悟浄の唇が噛みつくように重ねられる。
「舌は?入れられた?」
「フルル…」
「そう…」
小さく首を振り否定をする理世。角度を変えて何度もキスを重ねる悟浄。
「…あと、触られたところは?」
「頬っぺた…」
それを聞いてちゅっと両頬にキスを落とす。
「…あとは…」
「首と…ン…鎖骨位…」
そういわれれば悟浄は理世の首を撫でる。
「右と左、どっち?」
「ひ、だり…」
ちぅ…っと後を残しながらキスをし、舐めていく。
「…後は?」
「手首と…」
「『と』…どこ?」
「でも…後は服の上から『どこだって聞いてんの』…左胸」
それを聞いて悟浄は裾からたくし上げ、左胸に顔を埋め、またしても痕を残していく。
「…後は…?」
「もぉ…ない…」
「そか…」
そうしてようやく痕残しを終えれば、体を重ねて耳元で話し出す。
「…頼むから…触れさせねぇで」
「…悟浄…」
「気が…狂いそうだ・・いくら三蔵でも…」
「…ッッ…ごめ…なさい…」
一筋の涙がほほを伝っていくのだった。