第25章 手放したくないのは…
「なぁ…理世?」
「ん?何?」
部屋に戻ってから悟浄に突如問われた理世。先ほどまでの三蔵の事もあり、理世はどことなくよそよそしくもなって居た。
「…どうか、した?」
「どうかしたっていうか…雨宿りって、どこでしてた?」
「どこって…ちょっとしたお店?」
「店、ねぇ。」
「ん!そう!」
「服、全然濡れてねぇし、髪もしっかりと乾いてっし」
「待ってる間に乾いたのかな?」
「…・・理世」
ふわりと後ろから抱きしめた悟浄。そんな相手の腕にドキリと理世はしていた。
「…つぅかよ、俺が知らねぇだけかもしれねぇんだけど」
「ん、なぁに?」
「風呂に入れて服の洗濯、乾燥までしてくれるのってラブホくらいしか知らねぇのよ。」
どことなく切羽詰まったような、それでいて怒ってもいるような声に聞こえたのは理世の中でどこかやましい事のある証拠だった。
「…なぁ、理世?」
「……ッッ」
「隠しきれてねぇよ…同じ香りで、同じ様に濡れてなくて…んなの決まってんだろ…」
「…悟浄…あの…」
「それともほかにどこかある?あるなら教えてくれよ」
そういう悟浄の声はいつだかに聞いた少し低い、あの声だった。
「…ごめ…ッッ」
「何がごめん?何のごめんよ」
「…私…三蔵と…その…」
「抱かれた?」
「抱かれてはない!誓って!」
「…なら何のごめんだって…」
そこまで言えばふわりと抱き上げてベッドに強引に連れていく。とん…っと押し倒し、上から見降ろした。
「…で?もう一回聞くけど…何のごめん?」
「…確かに…その…入ったのはラブホで、そこでずぶ濡れになった体あっためるのに…お風呂入って…もちろん別!それで…その間に三蔵がフロントで服乾かしてもらって…」
「それで?」
「その、服乾くまでは…バスローブだったけど…」
「つか、それだけだろ?」
「…え?」
「その、!布…一枚だったんだろ…?」
「…ん」