第24章 金色の温もり
「横…座って良い?」
「あぁ」
言葉少なくも三蔵は確かに理世に返事をする。ガウン一枚のみの互いの体は微妙な距離感があったものの、恋人関係でない二人がこの部屋に二人きりでいるという事が既に緊張でしかなかった。
「雨…まだ降ってるよね」
「…あぁ」
「お洗濯…どのくらいかな」
「聞いたら一時間くらいだとは言っていたな」
「そっか…」
そんな時だった。
ガラ…ドォォン!!!
昼間と間違う程の明るさに外が包まれると同時にガラスは震え、音は響いた。その瞬間に理世は隣りにいる三蔵の腕に巻き付いてしまう。
「ごめ…ッッちょっとだけ…すぐ離れ…ッ!!」
しかしそう話す最中ですら音は鳴り止まず響いている。その度に身を小さくさせ、理世は三蔵にピタリと体を擦り寄せる。
「ハァ…」
小さくため息を吐けば震える体をそっと抱きしめた三蔵。
「心配すんな、たかが雷だろうが」
「たかがって…ッッひゃ…!」
ゴロゴロと遠くで鳴り続ける雷に三蔵はふっと笑みをこぼす。『それなら…』と呟けば肩を押し戻してそっと顔を近付けた。
「さ…んぞ……ン」
気付けば理世の唇にはいつもの悟浄とは違う、薄くきれいな形の唇が重なっていた。
「ハァ…まっ…ン…」
しかし、離れようとする理世の頬を包み込むようにしながらも三蔵は角度を変えて重ね合う。
ゆっくりと離れ、薄っすらと目を開ければ初めての距離のアメジストアイと交わった。
「な、んで」
「何で、だ?」
ふっと口角を上げれば至近距離の中で話し出す。
「驚いて雷、怖くねぇだろうが。」
「……ぁ」
小さく漏れた声で、理世自身怖くなくなっていることに気付いた。