• テキストサイズ

緋色の愛で抱いて【最遊記悟浄夢】

第23章 葛藤と嫉妬


「あ、あの…」
「あなたに用はないわ」
「…ッッ…でも」
「黙ってて」

そういうと春麗はキッと悟浄を見れば思いっきりパンっと平手打ちが飛んでいく。

「…はぇぇ…」
「えーっと…」
「もう二度と声かけないで」
「……あぁ」

ひっぱたき、言うだけ言えば春麗はその場から去っていく。

「…あーぁあ、だろ?」
「…だろ、っていうか…」
「自業自得だな」
「はは」

ははっとおどける様に笑う悟浄と頭を抱える八戒。我関せずの三蔵にびっくりが勝っている悟空。

「…ごめ、…私が昨日…声かけたから…」
「謝んなって。このくらい慣れてっからよ」

そうして、理世の頭をそっと撫でる悟浄。周りのお客からもひそひそと話すものもいなかった。
恐らく星見祭りの翌日にはたまに見かける光景なのだろう。それを意味づけるかの様に『災難だったな、兄ちゃん』と言ってくるおじさんもいたのだ。

「…で、理世は星見祭りの言い伝えは出来たんですか?」
「出来なかった…」
「昨夜一緒だったんでしょう?」
「そうなんだけど…」
「もしかして…それが原因ですか?」
「それ?」

小さなクエスチョンが生まれた理世だったものの、その直後に八戒はトン…っと自身の首筋を指さしたことで理世もはっきりと確信に変わった。

「…あー、うん」
「…やはり…」
「…あ、そうだ、昨日は…ごはんありがと…」
「いえいえ、そうでしたね、届けました」
「ん、遅くなっちゃってごめんなさい…」
「大丈夫ですよ、足りなかったでしょう?」
「悟浄がね?足りなかったみたい」
「あの人はいいんです。理世がしっかりと足りれば」
「…はは」

そう小さく笑う理世をみて、八戒はそっと笑いかけた。

「…おそらく、悟浄相手だといろいろと苦労することも多いと思いますけど…それでもきっと大事にしてくれますから。」
「…ん」
「何かあればいつでも相談してください?僕でも、三蔵でも」
「ん、ありがと」

そうして笑うあう八戒と理世をちらりと見ながらも悟浄は小さく笑っていた。
そのまま食事を終えて、店を出る。その時、一足先に店を後にした理世は見知らぬ男性二人に囲まれた。
/ 303ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp