第23章 葛藤と嫉妬
「ねーねー、お姉さん一人っすか?」
「え、?えと…」
「一人ならさ!俺らと一緒に楽しいことしない?」
そんなことが起こっているとも知らずに三人は会計を済ませようとしていた。まだ悟空はトイレから戻ってこない。
「…さぁてと…って、理世?」
「あれ、トイレですかね…」
「…あそこ」
そう言って三蔵が指示したのは入り口付近で囲まれている理世だった。
「…ナンパ、ですかね」
「だろうな。」
「ハァ…」
何を言うでもなく、悟浄はするっとその輪からでれば、理世のもとに向かっていく。
「…なぁなぁ、てか、連れ一緒にって言ってもいないんじゃ、どうでもいいって事じゃね?」
「あの、お言葉ですけど!」
そう言いかけた時、腰を引かれてトンっと悟浄の腕の中に入っていく。
「わりぃね、この子俺の彼女」
「ぁあ?何言ってんの?俺らが先に声かけてんのよ」
「んー、人のものに手ぇ出すなって言われてね?」
「なんだ、この赤毛」
「悟浄、遅い」
「わり、」
「本当に連れかよ」
「…アソコの毛も赤いんじゃねぇの?」
ひゃひゃっと笑いながら茶化してくる男二人。そんな相手に嫌気がさしたのか、理世はくるっと向きを変える。
「…悟浄…」
「なんだ…ン」
男の見ている目の前でキスを重ねる理世。あっけにとられる男二人はそのままそそくさと離れていった。
「…理世チャン?大胆ね」
「なんかイラッとした…」
「つか、アソコの毛の色なんざ、ヤローに教えっかよ、なぁ、理世」
「なんでそれを私に振るのよ。」
「まんまとナンパされてんだもんよ…」
「まんまって言わないで…しかも受けてない…」
「受けようと受けてなかろうとされてんじゃん?」
「初めてだし…知らないわよ。普通に話しただけがナンパだったんだもん。」
「なるほどな…」
そういうと腰に回していた腕が肩に乗る。
「…ドキドキしちゃったわけだ」
「…そんな事は特にない…」
「嬉しかった?」
「嬉しくない」
「なぁんでよ」
「悟浄じゃないから…」
「……ハァァ…」