第3章 恋の温度
「あー、やっぱり悟浄はいないんだ…」
「はい?・・・あぁ、彼なら恐らく女性の元でしょうね」
「フン…どっちでもいい。行くぞ」
「めーし!めーし!!」
少しだけスキップにも似た歩調で歩く悟空の後ろを三人がついていく。そんな形で食堂に向かっていく。その途中で背の高い赤髪を見つけた。
「あれって、悟浄じゃね?」
「あー、恐らくそうだな」
「声かけんじゃねぇぞ?めんどくせぇ…」
「え、みんなで行ったほうが楽しくね?」
「あー、悟空、その心遣いは無用そうです」
すっと人混みが触れた時だ。悟浄の横には左腕に腕を絡めた女性が一緒に歩いていた。
「…まぁたナンパしたのか…」
「あんな奴に引っかかる女の気がしれんな」
「そういっても見た目だけはいい男の部類に入ると思うのですが…?」
「ほぅ?ならお前ならあいつを男にするのか?八戒」
「え、いやですよ。私情を知りすぎてるので」
「あ、だったらさ!理世は?理世なら悟浄の事彼氏にしたいとか思う?」
突如振られた話のタネに理世はドキッとしていた。
「…私?」
「そうですね、貴重な意見になりそうですし…どう思いますか?」
「どうって言われても…それは…」
「フン…」
どう、と急に振られたところで自身の心がよくわかっていない中で曖昧な返事はできない。そう思いながらもゆっくりと話し出す理世。
「私も、うまく言えないんだけど、悟浄は優しいところもあると思う、でも、女性に軽いのは、ちょっとなぁ…って懸念点でもあるし…」
「フッ…真面目かよ」
「はい?どう思うかって聞いてきたじゃない」
「言っておくが、俺は聞いてない」
「…ッッ」
「でも、真面目に考えてくれるとは…」
「そんな事より飯!行こうよ!」
「悟空が振ったんじゃない、もとはといえば!」
きゃぁきゃぁと話し出す理世をじっと見つめて八戒は二人になった三蔵に問いかけた。