第3章 恋の温度
「もし、ですよ?三蔵」
「ぁあ?なんだ」
「もし仮に、理世が悟浄に惹かれていく、なんてことがあったら……どうします?」
「別に、どうとも思わねぇよ。」
「いえ、思う思わないの話ではなく…」
「何が言いてぇ」
「いえ、最終的に泣いてしまわないか…と心配でして…」
「チッ…母親か、てめぇは」
「いえ、本当にそんな感じですよ。少し記憶が曖昧だと言っていた時と比べても、おとなしくもなっていますし、…ただ、それが演技とも思えないですしねぇ…」
「まぁ、何かの歪、かもしれねぇが、それと愛だの恋だのとは関係ねぇだろうが」
「それもそうですね」
「……で?」
「はい?」
「結局何が言いてぇんだ」
「いえ、泣かないといいなぁ…と思っただけです。僕は」
「…フン…泣こうが笑おうが、てめぇで決めろって話だ」
「…そういう人でしたね、あなたは」
ふふっと意味深げにも笑を浮かべる八戒。そんな二人を少し離れた所から悟空は『早く!』と呼んでいたのだった。