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緋色の愛で抱いて【最遊記悟浄夢】

第21章 スキを形にして


頭が真っ白になる…そんな感覚に陥り始めた時だ。

「…いこ?悟浄」
「…あー、わり。」
「え?」
「喧嘩してて、むしゃくしゃしてた時に声かけたんだ。」
「何それ、遊びだったって事?」
「まぁ、ん。悪いな。春蘭(シュンラン)…」
「さいってー…」

キッと睨めば春蘭と呼ばれた女性はその場を去っていく。残された悟浄と理世は少し戸惑っていた。というよりも二人でどうしたらいいかと迷っていた。

「…で?」
「…な、何?」
「なに?は、俺のセリフだっつぅの。結構好みだったんだけど?あの子」
「…・・ごめんね?邪魔して」
「じゃなくてよ?」

手首をつかみ、理世が去ろうとするのを止める悟浄。

「…話、聞かせてもらうぜ?」
「…話…?」
「当然だろ?」
「・・あの、と言いますか…」
「邪魔したかっただけ、とかじゃねぇんだろ?」

人混みのざわめきの中でさえ、はっきりと聞こえる悟浄の声に理世はドクンと鼓動が高鳴る。

「ここじゃなんだから…いったん戻るか」
「でも…」
「何?」
「…八戒達…お祭りに来てるし」
「だから?」
「…え?」
「でもその三人から理世離れてきたんだろ?俺追って」
「…それは…そうなんだけど」

しどろもどろになりながらも理世は答えていく。手を繋がれたままに悟浄に引かれながらも一足も二足も先に宿に戻ってきた二人。
悟浄の部屋に入ればカチン…っと鍵をかわれる理世。

「…あの…」
「で?」
「……」
「セフレやめて?三蔵の事気になってんだろ?…・・つか逆か?」
「…なんでそこで三蔵が出てくるのよ…」
「部屋出入りしてたんだろ?」
「あの、出入りは確かにしたけど…」
「それがきっかけで三蔵の事気になりだしたんだろ?」
「何言って…」
「・・」

少しの無言のままに悟浄はくしゃりと前髪を掻き揚げた。
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