第21章 スキを形にして
「…悟空…」
「だってそうだろ?こんなにでかい街での祭りって楽しそうじゃん!それなのにナンパして、そんな人とだなんてよ?」
不思議とそんな悟空の言葉を聞いていた理世はふふっと笑っていた。
「…確かにそうだよね」
「だろ?理世だってそう思うだろ?」
「思うよ?」
『でも…』と理世は話を続ける。
「…だけど、それでも悟浄がそれを選んだのなら仕方ないんだと思う。」
「そっかぁ…」
「ん、だから私たちは私たちで楽しもうよ!」
「だな!」
そうして『俺、行く前に三蔵のとこ行ってもう一回誘ってくる!』と言って部屋を後にする。そんな時だ。
「理世?」
心配そうな八戒が理世の方に視線を向ける。
「ごめんね…八戒」
「大丈夫ですか?」
「ん、だめだね…好きになっちゃいけない人なのに…好きになるなんて…」
「その相手は悟浄ですよね?」
「お見通し過ぎ…そうだよ?」
「しかし、好きになっちゃいけないって…三蔵に何か言われましたか?」
「三蔵には、『勝手にしろ』って言われた。」
「あー、なるほど」
「でも、悟浄には…」
そう言いかけた時だった。
「…三蔵がぁぁぁ!!!」
「おい、八戒」
「はい?」
「こいつどうにかしろ」
「呼びに行っただけですが?」
「騒いで仕方ねぇ。」
「まぁ、どうせなら行きますか?」
そうして四人で少し予定よりも早いものの、宿を後にしてお祭りに向かっていった。
「…ぅわぁ!!」
そこはきらきらとしたイルミネーションと同時ににぎやかだった。
「…これで星なんか見えんのか?」
「なんか、暗くなる時間があるみたいですよ?」
「楽しみだな!」
「そうですね。」
「ん、本当に。」
「陰気くせぇ顔してんじゃねぇ」
「うるさいなぁ、こういう顔です。」
「もう少しまともだと思ったんだがな」
「…すみませんね」
そんなやり取りをしながらも屋台を回っていた。