第21章 スキを形にして
そして何もすることのないままに時間だけが過ぎていく。街の様子を窓から眺めれば嫌でもあの緋色を探してしまう。
「…ダメダメ…そんなことしたって…」
言い聞かせる様に、そして考えないように理世はとにかく寂しさを紛らわす様にしつつも時間が早く経つのを願った。
「…ハァ…ダメだ…」
八戒のもとに向かえばノックする。
「…はい?って…理世じゃないですか…」
「ん、ごめんね…って悟空もいるんだ」
「おー!!」
「どうかしましたか?」
「ううん、なんか…一人だといろいろ考えちゃって…」
「どうぞ?狭くなってますけど…」
そうして促してくれる八戒。
「どうかしたの?理世」
「ううん、なんか…ね」
「悟浄と何かあったんでしょう?」
「…ッッ…」
「え、そうなの?」
突然確信に付く、八戒にぐうの音も出ないままに気づけば理世の目からはポタリとにじむ涙がこぼれた。
「…ハァ…ゆっくりでいいですから…話せるなら話してみてくれませんか?」
「ごめ…ッッ…なんでもない…目にゴミ入っちゃって」
「…」
「え、何?悟浄に何かされた?」
「何も、されてないよ?ごめんね?心配かけて…」
そうしてにこりと微笑む理世。それを見て八戒は少し小さなため息にも似た息を漏らす。
「…どうせなら吐き出しちゃいませんか?」
「え?」
「寂しいって思ってるのかもしれないですし、つまらないと思ってる事とかでも。なんでもいいじゃないですか。」
「そうそう!!俺さ?さっき八戒に屋台で何喰うかって話してたんだ!」
「…そか、」
「でもさ?悟浄もくりゃよかったのにな」
純粋すぎる位に悟空がその名前を出す。