第21章 スキを形にして
そして昼食も終えて、夕飯はちょうどいいからと屋台に手済まそうと話をしていた。
「…次は、と宿屋ですかね」
「あぁ」
「…でも屋台って事は三蔵もいくんだね!」
「誰が行くといった」
「え?だってそうしないとごはんないよ?」
「買ってきてくれるとかはないのか」
「あるわけないでしょう?」
「そーだそーだ!!」
「フン…」
そうして宿屋に向かう。部屋をご部屋とれるとわかりシングル五部屋にした。
「…んじゃ、俺はあとで」
「……ハァ…」
一番端の部屋の鍵を取れば悟浄は手を振って外に向かう。そのあとそれぞれ適当に取っていく。
「…え、っと…八戒…」
「はい?」
「私と…お部屋変えてほしい…」
「どうかしましたか?」
「その…悟浄と横…だと…」
「…・・わかりました」
そうして深く追及もしないままに八戒は理世と部屋を変えた。
「…それでは、十七時半ごろでいいですか?」
「十八時でいいだろう」
「まぁ、そのあたりで。宿の入り口、ここでいいですか?」
「あぁ」
そうして待ち合わせ時間を決めてそれぞれの部屋に入っていく。
「…ハァ…八戒が部屋変えてくれてよかった…」
もしかしたら、悟浄はこの宿の部屋に誰か連れて帰ってくるかもしれない…そうしたら嫌でも『それ』を想像するから…そう思って部屋を変えてもらった理世だった。
悟浄にあったら…どうしたいのだろう…お祭りで、きっとさっきのお店の人を誘って…
そんな考えが理世の頭をめぐっていた。好きな人と意識してしまった以上、会いたいのと、ナンパしてその誰か知らない人と一夜を過ごす…他の誰にも付けられなかった痕も、誰かに付けることも無かったそれも…これからは自身だけのものではなくなると思うと理世は少しちくりと心が痛んでいくのを感じた。