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緋色の愛で抱いて【最遊記悟浄夢】

第20章 気付いた恋心


そう一喝すれば三蔵は小さくため息を吐いた。

「お前らが体だけの関係だろうと、そこから進展しようと、俺にはまったくもって関係ねぇ。それに、『だったら好きになるのをやめて体だけの関係を保て』とか、『んなもん全部やめちまえ』とか…仮に俺が決めたとしてもお前がそれをしっかりと飲み込めなけりゃ意味のないもんだろうが。」
「…そうかもだけど・・」
「それに泣く事になるって俺は先に忠告した。そうだろうが」
「……ん」
「それでも泣かないって言い張って、今日まで続けてきたのはお前の意思だし、あいつの意思でもあるんだろうが」
「…ん」
「それに、だ」
「…はい…」
「お前らの距離感と、俺の感じる距離感とは全く違うんだ。それが八戒であろうと、悟空であろうと、だ。」

そこまで言われて理世も納得し始めた。しかし、こうなるとも思っていなかった三蔵は自身の部屋をシングル、あとはツインを二部屋で取っていた。

「…それに、今後どうするかなんてのは当人同士で話さねぇとどうにも動かねぇだろうが」
「…そう、だよね」
「分かったらとっととあのバカのもとに戻れ」

そう言いながら煙草に火を点けて咥えだす三蔵。

「…ありがと、三蔵」
「…フン」

小さく笑いかけて、そのまま部屋を後にしていく理世。その足で自身の部屋に向かっていった。

「悟浄…いるかな…」

そうある意味今までとは少し違う緊張を持ちながら、部屋の扉をそっと開けた。

「お、戻ってきたか」
「あ…悟浄…いた…」
「ぁあ?いるけど?」
「…フフ…」
「なぁによ、俺いちゃ都合悪かった?」
「そんなことないよ?」

煙草の煙を燻らせながら悟浄は窓際の椅子に座っていた。

「…あの、ね?悟浄…」
「ん?」
「……私ね、話があって…」
「何、どうかした?」

灰皿にそっと吸いかけの煙草を置けば悟浄はよっと立ち上がり、理世の前までやってきた。
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