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緋色の愛で抱いて【最遊記悟浄夢】

第20章 気付いた恋心


「何よ、話って…」
「…あのね…?」
「ん?」

手を差し出すことも無いままに悟浄は前に立ったまま理世の言葉を待つ。

「…どうかした?何、」
「……私…ね?」
「ん」
「……私ねっていうか…私たち、さ?」
「ん?」
「…セフレ、やめよ…」

突如にして、急な告白に悟浄は一瞬言葉を失った。

「…あー、嫌んなった?」
「…違う、そうじゃなくて…」
「他の男、出来た?」
「それも…違う…」
「…満足できなくなった?」
「…違う…」
「…他に思い当たる理由はねぇけど…まぁ、ん…わかった」

そういえば振り返り、煙草の火をもみ消して、俯く理世の横を通り過ぎる。

「…悪かったな、今まで。サンキュ」

そう言い残してポンっと頭を撫でればガチャリと部屋を後にしていった。

「…ッッ…」

その場にペタン…っと座り込めばぽたぽたと落ちる涙を必死にこらえる様に声を押し殺して息を止める理世。

「…ッッ…泣いちゃ、だめだ…泣くな…自分…」

しかし、そう思えば思うほど涙はこぼれてくる。

「…もっと素直に…言えばよかったかな…」

そんな思いだけがくるくると心を回っていた。

「…悟浄…ぉ」

泣いて後悔しても仕方ないのは解っている。それでも…理世の中での悟浄の存在が大きくなりすぎていて、もうどうにもならなくなっていたのだ。

「好きにならなきゃ…よかった…」

そう思えど、好きにならないわけがない…本当はもうずっと好きだった…『キスが好き』なんて思い、言い聞かせながらもそうじゃないことなんてとっくに自分自身の中で解っていた。

「…ッッ…ック…」

静かな一人だけの部屋に嗚咽だけが響くのだった。
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