第3章 恋の温度
そして食事も終え、宿にとりあえず向かっていく一行。
「いらっしゃいませ、五名様でしょうか?」
「あぁ」
「お部屋なんですが、五名様ご一緒ですと和室のみとなっておりますが…」
「別で構わん」
「それでしたらツインお二部屋、シングルお一部屋で大丈夫でしょうか?」
「あぁ。」
「かしこまりました」
そうして部屋をとっていく三蔵。それを見て理世は小さくため息を吐いた。
「これって…」
「ん?どうかした?」
「じゃぁ、あとは勝手にしろ」
そういいながらも三蔵はあたかも当然と言わんばかりにシングルのキーを取りスタスタと言ってしまう。
「だよね…」
「んー、そうなると…」
「あー、いいよ。」
「へ?」
「理世一人で部屋使えばいいってこと」
「はい?」
「はぁ?!じゃぁ俺ら三人でベッド二つじゃんけんかよ!」
「誰も、んなこと言ってねぇだろ?」
「……ハァ…またですか」
「…っそ!じゃぁな?」
そう言って悟浄もまたひらひらと手を振り宿を後にしていった。
「と言う事なので、はい理世。」
「えと…これって…」
「一応悟浄と同室ってことになりますが、あの口ぶりだと今夜は少なくとも戻っては来ないでしょうし?」
「……それって…」
「さぁ、悟空?行きましょうか?」
「おう!」
そのまま荷物を持って八戒と悟空は先に部屋に入っていく。そんな二人の背中を見て理世はボヘ…っと気が抜けた。
「…自分勝手な人たち…」
ぼそっと呟いている理世を見て受付のスタッフはクスクスと笑っているのだった。