• テキストサイズ

凜恋心 ♢ 転生編 ♢

第27章 last battle…アンテ


翌朝、三蔵一行は予告通りに宿屋をチェックアウトした。

「なぁ三蔵?」
「なんだ」
「最後に飯、食っていこうよ…」
「…そんな時間どこにある」
「いや、今までも大抵そうだったじゃん!!」
「追い出された街の時以外はそうでしたね」

そうして雅のいる食事処に向かっていった。しかし、その場に雅の姿はいなかった。

「……雅…居ないのな……」
「もし仮に居たとしてどうするつもりだ」
「…それは…」
「なぁ三蔵?本当に良いのか?」
「さっきからうるせえな…てめえら…」
「三蔵。」
「八戒てめえもかよ!」
「本気で言ってるんです。僕ら全員。」

そう言う八戒の目は稀に見るほどの真剣なものだった。

「このままこの街を出たら、恐らくもう二度と雅には会えなくなりますよ?」
「……だったらなんだ…」
「後悔、しませんか?本当に」
「……」
「即答できない位なら考え直してください。」
「…チッ…」
「でもさ、八戒?雅居ないんじゃ…どうしようも無くね?」
「……そうなんですけど…」

そう話していた。そんな時だ。初日に会った男達の内の一人が声をかけてきた。

「お、兄ちゃんたち。久しぶりだな」
「おや、あなたは。先日はどうも」
「いやいや、それよりも聞いたか?」
「何をです?」
「姫が店、やめちまったって!!」
「……どう言う事?」
「それは俺たちも知りたかったんだけどよ!今朝、突然やめたいって言い出してきて、荷物もまとめちゃってるって……」
「三蔵…」
「……」

そう。雅は店をやめた。そうだとすれば、少し遅めの朝食にとやってきた一行が会える訳も無い。

「どうしましょうね」
「雅の家とか……知らねえの?八戒」
「逆に知ってたら僕自身怖いですよ……」
「…八方塞がり、だな」
「仕方ねえだろ。食ったら行くぞ…」

一瞬三蔵の顔にも陰りが見えた。それでもどうしようも無く食事を済ませた一行。
そのまま街外れに向かい出ようとした時だ。

「ちょ…っ!あれ!!」
「はぁ、全く……」

そう、そこには辞めたと聞いた雅が一人で辺りをキョロキョロしながら立っていた。
/ 77ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp