第25章 battle20…キス
「あれって……」
そう。雅が三蔵の部屋の前で百面相状態になっていた。
「雅!!」
「あ、皆さん」
「どうされたんですか?」
「今日最後だって…教えてくれたから……その…お別れに…」
「そうでしたか…」
「じゃぁさ!!」
「ほら、部屋入んぞ、猿」
「それじゃぁ、僕も」
「なんだよ!俺も!!」
「お前は昼間あったろうが…!!」
再度ヤイヤイ言いながらも八戒と悟浄に部屋に押し込まれた悟空。二人も一緒に悟空の部屋に入っていった。
「えと……」
「…そこ、俺の部屋なんだが?」
「…あ、ごめんなさい……」
ゆっくりと扉の前を空ける雅。無言でカチャッと扉を開ける三蔵に想わず声をかけた。
「あ…あの、三蔵さん」
「…なんだ」
「え…っと……その」
「いいたいことがあるならはっきり言え」
「……ッッ…あの」
「ハァァ…とりあえず中入れ」
「え…でも」
「ならいい。」
「あ!まって!!」
そういい思わず法衣の袖をクンっと引っ張る雅。
「あ…ごめんなさい…」
「さっさと入れ」
「お邪魔します」
そうして中に入る。法衣を着崩し、上半身は脱いだ三蔵。そのままドサリと椅子に腰かけた。
「それで?」
「え…?」
「何か話があったんじゃねえのか?」
「……あ…はい」
「…なんだ」
「えっと……あ、そうだ、少し前、妖怪来た時に助けてくれてありがとうございました…」
「そんな事か…」
「あとは……その…ホールで話してた時…怒らせちゃって……ごめんなさい」
「別に怒ってねえよ」
「……それから……えっと……」
しかし言葉を探そうとしても何を言って良いのか解らない。それどころか突如目からは涙が流れて止まらなくなっていた。