第25章 battle20…キス
「あ……そっか…旅の途中って…言ってましたもんね…そっか……それはすごく残念です…」
「雅……」
「悟空さんも、元気でね!またこの街来ることあったら寄ってね?」
「……俺……俺さ!」
「なに?どうかした?」
「…や……やっぱいい」
「そう?……ッ」
「三蔵なら宿なんです」
「……あ……そうなんだ…」
その時の雰囲気で悟浄と八戒はなにか違和感を感じた。
「あの……八戒さん…」
「なんですか?」
「……ッッ…」
「おーい!!雅ちゃん!こっちいい?」
「あ!はい!ごめんなさい、行かなきゃ…」
そうして仕事に戻っていく雅。その背中を見ながら三人は話していた。
「俺…やっぱ目の前にいるのにまた離れんの嫌だ…」
「そうは言っても家の三蔵があぁ言った以上曲げねえだろ…」
「そうなんですけど……」
「俺!先帰って三蔵説得する!!」
「あ、ちょっと悟空!?」
そういう八戒の止めるのも聞かずに悟空は走っていってしまった。残った二人はため息を吐きながらも言葉を交わす。
『「ねえ」「なぁ」』
「…悟浄からどうぞ?」
「いや、八戒から言えよ」
「では、……さっきの雅の反応……どう見ます?」
「俺的には一発大逆転な予感しかしねえわ」
「おや、珍しい。同感です」
「だけどなぁ……同時に俺もチェックメイトってか?」
「ははは、仕方ありませんね。でもわかりませんよ?勝負は最後までわからないって!」
「お前…それ本気でいってる?」
「あながち本気ですけど?」
「……ただなぁ……明日なんだよね」
「そうなんですよ……」
ため息を吐いた。もう何度目だろう、数えきれないほどだった。宿に戻ると廊下にまでヤイヤイ言っている声が聞こえてくる。
「ちょっと、廊下まで聞こえてますよ?」
「もういい!!ハゲ三蔵!!!」
「…うるせえよ!チビ猿!!」
「何なんですか?全く…」
「だって……」
「あ、三蔵?雅に明日出発ってこと、伝えさせていただきましたからね?」
「……」
「不機嫌になるなら言っちゃえば?」
「殺すぞ…」
「……はぁ」
そうして驚くほど早く最終日の夜はやって来た。一行は何だかんだと美味しく食事をして戻ってくる。そんな時だ。