第3章 battle3…愛しき夢
「全く…へこたれたと思ってたのに、意外とタフなのな、うちの三蔵」
「タフにもなりますよ。手紙の最後の言葉…直接聞かないといけませんし。」
「そういや、あの三蔵に渡したメモ、何て書いてあったんだ?」
「僕から聞いたってことは内緒ですよ?」
「あぁ。」
「今度会っても三蔵に恋するから、三蔵が私にまた恋したらこれ返してねって」
「……て事は次会っても俺が恋人になることはねえってこと?」
「みたいですね」
「泣いていいか?おい……」
「泣かないでください?」
「だってよ……」
「そうですね、雅が三蔵に恋した時点であなたはチェックメイトですから」
「だろうな。あの坊主が雅以外の女になびいていくなんて想像すら出来ねえわ。」
「でしょ?」
そう話している二人を一件の食事所の前で手を振り呼ぶ悟空が居た。
「さ、呼んでますよ?」
「いきますか…悟空よりもあの不機嫌な太陽が銃ぶっ放してくるからな」
「そうですね。妖怪でなく三蔵に殺されそうですしね、僕ら」
「確かに」
笑い合いながら急いで悟空と三蔵の元に向かっていった。
その日の夜も三蔵は夢をみていた。
「…三蔵?ねぇね!」
「……なんだよ」
「見て見て!これ!」
「……あぁ」
「冷たいなぁ…」
そう…雅の夢だ。しかし最後は必ずこれほどまで明るい場所は無い、といわんばかりの明るい花畑に雅は立ち、『またね』と笑っている。そしてなにかを言おうとしてるが聞こえなかった。
「……ハァハァ…」
目が覚めるときゅっとリングを握りしめる。
「どれだけ見たら気が済むんだよ…俺は…」
そう呟いた。
「文字なんかじゃ…聞こえねえだろうが…それに…ずっと好きしか聞いてねえし…」
そう…最後に雅が言おうとした言葉…それは三蔵には伝わっていた。しかし最後まで言葉にされなかったそれは、三蔵の耳に聞こえてこなかった。
「会ったら…言えよ…てめえの口で…声で…今はまだ…聞こえねえから…」
そういっては膝を抱えていた。